朝、外を歩く
陽の光を含みはじめたばかりの
素のような空気がある
鳥が鳴き
草木が静かな声で話しはじめる
家族と歩く小道
知り合いとのとりとめもない会話
わたしたちが生きているこの時間のなかで
何が大切かをわかり
生きているときに、大切なことを、大切にする
生きているものたちの尊厳
今を生きること
世界を見抜くこと
目の前のいのちを大切にするということ
目の前のいのちを大切にせずには、
どんな行為も虚しい
「わたし」というとき、それは「わたしたち」と同じことで
「あなた」と同じこと
「時間」というとき
「空間」と同じこと
「いのち」と「力」と「美しさ」も同じものを指すことば
Profile
プロフィール
鈴木雄太 Yuta Suzuki
1988年2月29日、大阪府池田市生まれ。
池田高等学校卒。
同志社大学経済学部卒。
大学在学時に海外を放浪。2013年インドネシアを旅しながら小説の執筆を始める。2016、2017年八ヶ岳の山小屋に勤務し、山での生活で感覚が変化していく。2019年小説『透明な自由』を出版。以後、絵画表現による創作活動。2022年初個展『巡るいのちの力』を開催。その後ふたたび八ヶ岳の山小屋に短期勤務し、下山後これまでの旅をまとめたフォトエッセイ『零の彩り』を出版。そのほか、個展『女性と龍』、ピアニスト北川朝美との共演による絵画をテーマとした演奏と朗読『フェニックスの息吹 ~色彩と響きの対話~』など。